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好奇心で磨かれたマーケットイン。未経験社員が活躍できる理由。

経歴

北村 秀行

レッドキューブ株式会社 代表取締役社長

1966年生まれ、東京都出身。日本大学芸術学部映画学科中退。
大学時代より交流のあった映画制作、飲食店開発等の事業を展開する企業よりヘッドハンティングされ、大学卒業を待たずに入社。
その後、父親の経営する広告代理店に転職するが、バブル経済崩壊後の景気低迷により同社が倒錯。以降約10年間、取引先の同業協力会社に勤務。
2007年、より発展的なクリエイティブ環境を作るべく創業。2015年~2018年、大同大学にて広告表現法の非常勤講師を勤める。
近年は環境啓発プロジェクトにも力を入れ、内閣総理大臣賞や環境大臣賞を受賞。 趣味は食べることとそれに伴うお酒。自身でも料理をする。

事業内容

―レッドキューブ株式会社は、広告、企業・事業PR、セールスプロモーション等の企画制作が主の事業としています。もう一つの軸として最近は、環境コンサルティング、プロジェクトプロデュース等を行っております。当社は印刷、イベント、WEB、映像等のメディアをボーダレスで行うことが可能で、強みは企画、取材力です。プロモーションのターゲットと目的を的確に洞察し、最も効果的なアプローチを見出していくようにしています。

顧客が本当に求めるものを追求する

―レッドキューブ会社の強みは「マーケットイン(※)」です。日本の企業の大半がプロダクトアウト(※)な中、北村さんは顧客視点を徹底的に追求されています。


※マーケットイン:顧客の意見・ニーズを汲み取って開発した製品を提供すること
※プロダクトアウト:企業が良いと思うものや得意とする技術を活かした製品を提供すること


プロダクアウトの例としてソニーとAppleを挙げてくれました。ウォークマンに代表されるソニーが圧倒的なシェアを誇っていた時代があったが、新興のAppleに抜かれたのはソニーの企画がCDやMDなど企画視点にこだわる、プロダクトアウトだったからだと言います。Appleはそこを打ち崩し、常に顧客目線でエンドユーザーが便利な製品を開発してきました。


北村:
弊社のクライアントも、比較的プロダクトアウト的なオーダーが多いと思います。例えば、メインクライアントの大手木造住宅メーカーの新商品発表会。それまで木造では難しかった大開口・大空間が実現できるようになったので、そこを誇張してPRしたいと思うのがプロダクトアウト。ところがマーケットイン、つまり顧客側の目線で考えると、大開口・大空間は、鉄筋コンクリート造等の建造物では、ずっと昔から身近に存在しています。従って大開口・大空間自体は、顧客側からすると決して目新しい特長ではないのです。そこで、顧客目線的にウリになる、その新商品の別の特長を強調するようにし大開口・大空間は、他の特長と融合させるような表現を提案し採用されました。このようにクライアントのPRしたいポイントがプロダクトアウトであっても、弊社はマーケットインの視点で市場に響くPRのアドバイスができる広告代理店であり続けたいと思っています。

理屈で動かないマーケットをどう感じ取るか

―北村さんの中でマーケットインの視点がどのように磨かれていったのかを伺いました。

北村:
好奇心を持って、色々なものを見たり触れたり経験したりすることだと思います。データだけに着目して数字や理屈からマーケティングを考えると、プロダクトアウトになってしまいます。
例えば、某大手コンビニエンスストアの店頭に並ぶ新商品は、3年後には3%しか残らないと言われています。大手食品メーカーは巨額のコストをかけてマーケティングをしているのにも関わらず、97%が無駄になってしまっているんですね。そこで生き残った3%がヒットした理由を考察する際には、マーケットは理屈ではない方向に動くことを認識し、これを敏感に感じ取れるかが非常に重要だと思います。そしてこのマーケットを敏感に感じ取る為には、人と話すこと、自分で色々経験することが大切です。例えば、自分の好みや嗜好と合致していなくても、高視聴率だったりヒット作だったり人気店は、ネット上の口コミや評論家の論評に惑わされることなく、自分の目と耳、五感で実際に確かめてみるとか。全てのものに対して嫌悪感を示さずに、出来るだけ積極的に接していくことが大事だと思っています。

好奇心と自己顕示欲が原動力

―遊ぶことが大好きで、昔から楽しいことは何でもやってみる好奇心旺盛なタイプだったからこそ、経験を通して色々なものに興味を持つ大切さに気付いた北村さん。

北村:
大学1年の時、既存のサークルに属するのが嫌で、企画サークルを作りました。自分で考えたものを作っていきたいという性格で。でも思春期の頃から女の子が大好きで、大学のサークルもほとんど女の子にモテることしか考えていなかったですよ(笑)。これも良いように言い換えれば異性への好奇心ですし、全ては好奇心なんだと思います。

―ただし遊ぶだけではいけなく、どう自分の糧として結びつけられるか、という踏ん張りが重要だと語ります。

北村:
遊んでいる中でも、例えばサークルを作るならそのサークルでやることが一世風靡するところまで持っていきたいな、というような漠然とした思いがありました。そこには多少の困難や苦労があってもくじけない強さが必要になります。最初の頃は大ゴケもしました。パーティーを企画しても集客できなければ、借りたお店に支払う費用で借金になります。仲間同士で負担を分担しながら、絶対成功させるという芯を持って取り組み、翌年大成功したりしました。目先のことに流されるのではなく、入口はどうであれ自分の手を付けたところに芯を持って続けられるかが非常に重要だと思います。

―一線を画して努力をしながら「遊び」、そして結果を出していく原動力を伺うと「自己顕示欲」だそうです。

北村:
人それぞれ形や現れ方は違いますが、自己顕示欲って誰でも少なからず持っているものだと思います。私の場合、姉が優秀でエリートコースのキャリアを進んでおり、それと比べたら自分の学歴は見劣りしたのですが、そこで何かしらの自己顕示欲が働いて、ただ遊ぶだけではなく何かを残したいと思いました。だからそのサークル活動に力を入れていたんだと思います。

未経験が活躍する理由

―レッドキューブ株式会社では未経験の第二新卒を採用しています。デザイナーやライターなど専門性が求められる中で未経験者を採用しているのは、純粋に素直に吸収できる幅が経験者と比べると大きいので、その分より成長が期待できるからとのこと。北村さんは社員に対して、マーケット視点での指導・指示をしますが、プロダクトアウトの制作会社で育ち転職してきた経験者は、北村さんの言っていることが理解できず、反発やギャップが生まれてしまうそうです。

北村:
「でもクライアントがこう言っていますよ」「お金を出してくれているのはクライアントなんですよ」と言う人もいますが、クライアントの思惑そのままに作るのならば、弊社でなくてもいくらでも代わりはいます。しかしマーケット目線の弊社の提案を理解してくださるクライアントは、そういう弊社の特性を期待して、何でも、何度でも相談してくれるようになります。勿論、依頼された仕事を効率的に終わらせるなら相手の言う通りにすれば楽で早いですが、手間や時間をかけてでも良いものを世に残そうとすることで、信頼を得てより多くの受注に繋がります。
なので、そういうマーケットインの発想を、まっさらな気持ちで吸収できる未経験の第二新卒が結果的には弊社に残っています。

今後の展望

―この激動の世の中では、会社を具体的にどう展開していくか明確化することが難しくなっています。リーマンショック、東日本大震災、この度の新型コロナウイルスの流行など想定できない出来事が経営に痛手を与えてしまいます。

北村:
特に新型コロナウイルスは今まで経験してきたことないような、人々の生活の根本が変わっていく出来事になりました。リモートを主体とした、新たな情報発信企業へと脱皮していくというのは方向性として発信していますが、それすらも詳細までは見通せないので、その時々で最善の舵を取っていきたいと思っています。一方、根幹の信念として持っているものは、企業として持続可能であるかどうかです。自分が引退しても下の代が後を継ぎ、従業員もクライアントも協力会社も、それぞれの利害関係者がいる中でWin-Winで皆が幸せになっていけるよう、会社を存続させることが最大の使命です。
そして新たな時代を勝ち抜くクリエイティブ集団に脱皮すべく、既存の考え方、事業領域を超えた挑戦を断行し、新時代の勝ち組を目指したいと考えています。

「人は石垣、人は城…」

―レッドキューブ株式会社が求める人材は、向上心のある人。最近は安易に「やりがい」「自分らしさ」という言葉を使いがち、求めがちですが、向上心が無いとどこに転職しても上手くいかないと思うと北村さんはおっしゃります。

北村:
誰しも目の前の仕事をこなすのは大変ですが、「やりがい」は誰かに与えられるものではなく、自ら生みだすものだと思います。特に弊社は、形の無いモノ=皆のアイデアや労力によって生み出すものをお金に換えるビジネスです。先に述べたように、クライアントの言いなりではなく、自ら発信する提案がマーケットを動かすような「やりがい」は自らにかかっている訳です。「人は石垣、人は城…」という武田信玄の言葉があるように、弊社を支えているのは「人」です。なので同じ方向を向き、自ら「やりがい」を生み出し、向上心を持って共に戦っていけるような人材が欲しいですね。

―会社を経営する上で心掛けているのは、社員の長所を伸ばし、皆が輝きを放つ会社であり続けることだといいます。

北村:
所属する全てのスタッフの頑張りと貢献にこそ、発展と明るい未来があります。人間の能力には限界があり、必ず長所短所があります。不足しているところを互いに補い合い、それぞれの長所の組み合わせによって伸ばせるフォーメーションを作ることが重要で、私が引退した後に、私の代わりになるような長所を持つ誰かを探すのではなく、その時々のそれぞれの人材の長所を最大限に引き出した、新しい体制を確立することが持続可能な会社の存続になると考えています。

―最後に読者へのメッセージを頂きました。

北村:
例えどんな職に着こうとも、そこからの成長は自分次第です。どんなに優れた育成プログラムを持つ企業であっても、結局はそのプログラムも所詮新たな社会でのスタート前の予備知識に過ぎません。そこから先の実戦で、自らの知見と働きにより、しっかり成果を残せる人だけが、真の意味でのその先のキャリアアップを果たせます。若さと言う資産を日々無駄使いせずに、携わる業務、出会う人々、そして日々の時間を、全て将来の自分の糧とすべく、真摯に向き合ってください。気がつけば数年後の自分の中に、スキルと人脈と言う、大きな無形の財産が蓄えられているように。

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