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本当にそれは自分がやりたいこと?マーケティング視点で見つめる大切さ

中野 尚範

株式会社アドヴァンテージ 代表取締役社長

経歴

兵庫県淡路島出身。同志社大学商学部卒業。19歳から個人事業主(外交員/訪問販売営業)として働く。その後フリーター、28歳で副社長として起業に参画。同社の子会社の経営権を買い取り、株式会社アドヴァンテ―ジとして独立。大学にて就活生などに対する講義も行っている。

事業内容

―株式会社アドヴァンテージ(以下アドヴァンテージ)では、自社採用サイトでの採用支援事業を20年以上続けています。代表的なサービスとして「ちょくルート」、「べつルート」事業を展開しています。

自社採用サイトによる採用の必要性を伺うと「まず問題点として多くの企業は某大手求人媒体サイトを使った採用しか手法がないという固定概念を持っていることにある」と中野さんは言います。

中野:お金をかけられない中小企業は大手求人媒体に頼らなければ採用が出来ないと思っているので、そこにお金をかけなくても自社採用サイトで採用ができるようにしました。それによって中小企業も活性化できるんじゃないかと思って続けてきました。更に、時代背景に合わせて自社採用サイトにどう人を呼び込むかというのをご提案させていただくのが我々の強みです。今ならYouTubeを活用しましょうといったような。

新卒採用には1人平均100万

―大手求人媒体サイトに依存しなくて良いということ。そのノウハウが溜まってくれば、お金をかけなくても良い人が採用できるということ。折角お金をかけるのであればよりターゲットに合う人を採用した方が良いということ。そうした思いでここまでやってきた中野さん。実際に企業はどのくらいお金をかけて何人採用できるのでしょうか。

中野:うちのクライアントだと新卒採用に4000万円かけて2人しか採用できなかったという事例もあります。大手新卒ナビサイトに掲載するのに基本パッケージ150万円くらいで、他にもサイト内で上位表示するのに1週間100万円くらい、採用イベントに1回出るのに60万円くらいかかったりします。1年間に何十回もイベントに出て、かつ上位表示を買うと、複数の新卒ナビサイトなどを合わせたトータルで4000万円くらいかかってしまうんですよね。

―採用単価1人2000万円というのは極端な事例ではあるそうですが、一般的に新卒を1人採用するのに100万円が相場で、パート・アルバイト採用でも平均1人5〜10万円ほどかかるのだそうです。学生は何気なくエントリーしているつもりでも、そこに対して実は企業はそれだけのお金を払っているということを知ることができます。

中野:なので、企業としてはより良い人を採りたいっていう部分もありますし、内定辞退されないように、ありとあらゆることを考えているんですよね。

マーケティング視点は取捨選択していくことで培われる

―採用は企業の生命線に直結している領域になることが伺えます。経営資源である「ヒト・モノ・カネ」の「ヒト」の部分で、その中の重要な部分をアドヴァンテージでは担っています。しかし、一番大事なのは採用ターゲットが明確であることだそうです。いくら一生懸命に広告やマーケティングをしても、ターゲットがずれていると成果が上がらないと中野さんは言います。

―仕事の醍醐味は「数字で全部出てくるところ」とのこと。以前の紙媒体での採用をおこなっていた頃は電話がかかってくるまで「数字」が分からなかったそうです。

中野:Webだとアクセス数も分かり、原稿を見てくれたかどうかも分かります。どのポイントまで読み込んでくれたかも全部データとして、数字で見える化できるので。例えば採用記事を読まれているのに応募数が少ないのであれば、ターゲットはいるものの訴求ポイントが響いていないということなので、訴求ポイントを改善していけば結果が出ますよね。採用担当の方にはこうしたマーケティング的な考え方を持ってもらえるようになると良いですね。

―そのマーケティング視点とはどう養われるのかを伺うと、大学生が「うちのサークルに新入生が入ってもらうには、どういう風にチラシを作ろうか。」や「どこでチラシを撒こうか。」と考えることもマーケティングであると話してくれました。
「サークルでインカレ目指しますっていうのもあれば、うちはチャラチャラ遊びますっていうのも、見方を変えるとマーケティングでいうポジショニングに当たると思う。」と、面白い例え話も出してくれました。

中野:人は行動していく上で必ず取捨選択するものですが、その繰り返しでマーケティング力というのは自然と培われていくんじゃないかなと思います。

―人材採用の仕事に向いている人、この仕事を好きになる人は、「人の人生のキャリアの転換に関わるのが面白いと思っている人、数字で結果が分かりやすいところに共感できる人、将来起業したいと思っている人、経営者の相談相手になりたい人」などだそうです。

中野:学生でインターンをするなら、採用領域はかなりオススメです。採用マーケティングや広告の仕事は、相手の強み・弱みを分析して、それを相手にどう伝えるかということをするので、次にどんな仕事に進むとしても役立つと思います。

「誰かのために」は卒業しよう

―学生の中には、就活は何から始めていいか分からない、やりたいことが分からないという人もいますが、採用のプロである中野さんに、そういう悩みに対してマーケティングの視点からアプローチできることはあるのか聞いてみました。

中野:やりたいことを見つけるのはかなりハードルが高いんですよね。そして、やりたい仕事を想像できても、果たしてそれは自分に向いているのかっていうこともあって。

親や友達から「この会社の内定を貰えるとかっこいいと言われるから」「褒められるから」「チヤホヤされるから」といった感情で就活している学生は結構います。でもそれって本当に今見ている仕事であるべきなのか?それってやりたいことではないんじゃない?ということは就活をしている学生には考えてもらいたいと思います。
就職活動にマーケティング的な視点を持つこと、というのは大学でも講義させてもらっているのですが、この辺りの視点を持っている学生さんは少ないと思いますね。

―多くの学生は就職ランキングを気にしたり、周りがこっちに行くから自分もそうしたりといった雰囲気に呑まれているので、それを変えていかないといけないと中野さんは力説してくれました。また安定一流企業と言われる会社が40~50年後も持続している保証は無いため、就職ランキング上位の会社がその後何年残っているのかを、就活中にもう一度整理するべきだと言います。

中野:例えば「どうしても銀行に入りたいけれど自分はFランク大学なので、どうしたら銀行に入れますか」というのはテクニックの話なので可能性は作れますが、本当に銀行に入るのがその人の幸せなのかっていうのは別の話になりますよね。新卒のうち3分の1の人は3年以内に離職しますし、そういう現状を考えると入り口が間違っていると思うんです。

―「親ウケする」「友達ウケする」や「誰かのため」に会社を決めるという考え方からは卒業するべきだということ、入社しようとしている会社が本当に「安定」なのか、自分はそこで幸せなのかを分析できることが大切とのことです。

個の時代に突入しているからこそ我慢する必要はない

―中野さんが今後、創っていきたい世界観や実現していきたいこととは。

中野:今後、会社がどうなっていくかなんて分からないんですよね。昭和の時代は景気が良く、40年間会社にお世話になって、会社も本人も家族もハッピーみたいな時代でした。でも今は勝つ会社もあれば負ける会社もあり、周りに必要とされて認められたときにお金が入ってくる、”個の時代”なので、一人ひとりがもう少ししっかりしないといけないんですよね。良い会社に入ったら給料上がっていって食べさせてくれるみたい時代ではもう無いんですよ。
一方で周りから必要とされるものが多様化していて、それで食べられる時代なので、我慢して楽しくない仕事を40年間するようなことをしなくても良い。その選択肢を増やす為に、自分がどう周りの役に立つのか、自分が何をしたいのかを考えて行動していく。それが正しいかなんて、やってみないと分からないものですが、その中で食べていけるものが見つかっていくんじゃないかなと思いますね。

―今の日本は昔に比べて随分と自由度が増してきたように思います。
「日本がもっと楽しいような国となって、子供や高校生、大学生も、早く大人になりたい!早く稼がないと!自分で会社やらないと!と思えるような、大人になっていくのがワクワクするようになると良いですね。」と中野さんは声を弾ませて話してくれました。

―そのような時代の中で、アドヴァンテージが果たしたい役割は「スイミー」のような存在であることだと言います。

中野:弊社は採用が本業ですので、採用や人材のキャリアアップに関しては中心の目となれます。そこで営業に関しては営業に強い会社や人材が中心となって、我々はそこと連携していく、といったようにそれぞれの会社・人の特性を活かす軍団を創ることを実現したいです。

―最後に学生に伝えておきたいことを伺いました。

中野:「周りに合わせなくても良い」というのは伝えたいですね。YouTuberのように、自分と近い価値観の人が集まればそれで食べられる世の中になりましたので、仮に就職活動が上手くいかないのであれば就活しなくても良いんじゃないかと思いますね。

―採用にかかる費用などリアルなお話から、「誰かのために」会社を決めるのはやめて、40年先の幸せを考えるという新しい視点のお話を伺え、とても勉強になりました。
中野さん、本日はどうもありがとうございました。

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